奈良時代から続く群馬県の養蚕業が現在、危機を迎えている。海外からの生糸、絹の輸入拡大による価格の崩壊もさることながら、一番の原因は後継者不足といわれている。 作者は、その群馬県の養蚕業の現状を多くの人に知ってもらいたいと、1998年から桐生市、安中市、甘楽町、富士見村、赤城村(現渋川市)などの取材を始め、2005年「繭の輝き」としてまとめ写真展と雑誌により発表した。 養蚕業は日本の文化をささえ、明治以降は日本の近代化を推進した一大産業であった群馬県は、1872年富岡製糸場が建設されて以来、現在もその中心地である。 作者は、この養蚕業を次の時代にも引き継ぎたいと、蚕糸業に従事する人、座繰で糸を紡ぐ女性、金色に輝くぐんま黄金、緑色の美しい天蚕繭、豊作を願う信仰などを詳細に取材し、蚕から繭、繭から生糸、生糸から絹とたどる一連の流れをひとつの物語として完成させている。 |