林忠彦賞

 

 

第18回 大西 成明/写真集・写真展「ロマンティック・リハビリテーション」

壊れた脳とともに生きる―山田規畝子さんの暮らし

大西 成明 写真集・写真展「ロマンティック・リハビリテーション」


 作者の大西成明さんは、「生命」や「身体」というテーマにこだわりを持った写真家である。最初の写真集『象の耳』(1992年)では、動物園にいる動物たちの細部を撮影し、その形態と色彩に刻まれた35億年にわたる生命の記憶を探検した。
 『病院の時代』(1999~2000年)では、全国の病院を訪ねて、日本人の“生老病死”の実態に迫った。それと並行して、「脳」や「骨」という、生命の究極の形にも着目し、物(モノ)と霊(モノ)を繋ぐ、身体イメージを紡いできた。
 そして、『ロマンティック・リハビリテーション』(2008年)である。
 これは、脳梗塞・脳卒中・頚髄損傷、あるいは統合失調症・薬物依存症といった、過酷な身体を背負いながらも現実を切実に生きる人々と、彼らに向き合い支える医師、療法士、家族の人たちの日々の格闘を、リハビリ群像として真正面からとらえたものである。
「リハビリ室での苦しく単純な機能回復訓練」という従来のリハビリ観を超えて、それぞれのひとの「夢見る力」が切り開いていく「ロマンティックなリハビリ」というものが本当に可能なのだろうか・・・大西さんの写真は、この時代の「希望と再生の姿」を静かに語りかけてくる。

大西 成明(おおにし・なるあき)

写真家。
1952年奈良県生まれ。早稲田大学第一文学部社会学科卒業。
92年動物の細部を独特の視点でとらえた写真集『象の耳』で日本写真協会新人賞を受賞。94年にはカール・セーガンの著書『はるかな記憶』の中で、生命の起源を巡るイメージ写真を提供、各章の扉を飾った。97年には『地球生物会議』のポスターでニューヨークADC金賞を受賞。
この頃より、週刊誌のグラビアなどで医療関係ドキュメントを撮り始め、99年から2000年にかけて写真週刊誌「フライデー」で『病院の時代―バラッド・オブ・ホスピタル』を連載。「人」と「病」と「医療空間」が織りなす「生命の物語」を日本全国の病院を訪ね撮影した。そのシリーズにより99年週刊現代ドキュメント写真大賞、2000年講談社出版文化賞受賞。
2004年、19年にわたり撮り続けてきた『日本の川100』、世界で一番美しい脳の写真集『ひよめき』、2007年『ザ・モンキー』(共著)出版。近著に『ホネホネたんけんたい』(共著)、『人形記』(共著)など。
日本写真家協会会員。2009年4月から東京造形大学非常勤講師。


  • 浅田政志「浅田家」
  • 上地典之「新世界肖像」
  • 大塚幸彦「うみのいえ」
  • 大西成明「ロマンティック・リハビリテーション
         ~夢みる力・20の物語~」
  • 奥山淳志「明日をつくる人」
  • 桜井 秀「AmericanWest 西へ向かう」
  • 笹岡啓子「PARK CITY」
  • 中島拓也「牡丹雪」
  • 船尾 修「カミサマホトケサマ」
  • 梁 丞佑「LOST CHILD」
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