長崎に生まれ、そこに暮らす作者が、1951年から57年間撮りためた長崎の人々やその生活、そしてそれを取り巻く歴史や風土など約12万カットの中から131点を厳選し、2007年、写真集「長崎フォトランダム」として発表したもの。
きっかけは、2002年に亡くなった最愛の妻が残した「永年撮ってきた長崎の写真を発表して」の一言。作者は、妻の遺志に応えようとこれまで撮ってきたフィルムをデジタル処理し、自分のイメージする愛おしい長崎の姿を創出させた。
長崎街道にはじまり旧居留地に被爆地、そして庶民の暮らしや街角、最後は妻との思い出とその一連の流れるような構成は、長崎人、そして作者にしか解らない深淵なる世界が広がっている。
半世紀あまりにもおよぶ長期取材と、ソラリゼーションなどの技法を駆使したモノクロームの世界は、一大小説を読むがごとく完成度の高い作品に仕上がっている。 |