2004年10月23日午後5時56分、新潟県中越地震で壊滅的な被害を受けた山古志村(当時)は、全村避難を余儀なくされた。作者はその山古志にひかれ山古志村とその周辺の風景や風俗を1987年から取材し、1999年写真集「古志の里」に続き、2004年写真集「古志の里II」を発表した。 山古志は、ただ風光明媚な土地というだけではなく、山を開墾して作られた棚田や棚池。国指定重要無形文化財、牛の角突き。世界的に有名な錦鯉の生産地などで知られる小さいながらも活気あふれる村であった。 作者は、自然とそこに生きる人々の暮らしのなかに都会人が忘れた故郷への思いや、自然のありがたさを詩情豊かにえがいている。同県人の仕事だけに精神的にも深く入り込み、愛情あふれる視線が多くの感動をよんだ。また、現在では震災前の山古志の繁栄を知る唯一の記録として、復活を信じる山古志村民の精神の支えにもなっている。
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