海の近くで生まれ、海の香や波音とともに育った作者の愛してやまない故郷、房総の海へのオマージュ。作者は1985年から2002年まで千葉県周辺の海を撮影し、写真展を開催、その集大成として2003年写真集を発表した。房総の海は、千葉県周辺を囲み、いまでも四季折々に美しい表情をみせる自然の宝庫である。また、一方では首都圏や地域の人たちの生活の場であり癒しの場でもある。作者は、ただ自然の美しさを撮るのではなく、海とそこにかかわるさまざまな人たちや、生活をとおして、海と人間との共生や、自然保護のありかたを詩情豊かに切々と謳いあげている。長年の経験に裏打ちされた卓越した撮影技術により、全編をとおして、快い緊張感が伝わってくる。 |