「Otari-Pristine Peaks 山霊の庭」は、北アルプスの小さな集落、信州長野県の小谷村(おたりむら)を4年の歳月をかけて撮影した作品である。真冬には2メートルの豪雪にもなる厳しい自然の中で、山の恵みを糧に暮らす人々や自然の風景を、作者は本能のままにシャッターを押し続けた。研ぎ澄まされたまなざしと優れた色彩感覚で表現された作品は、山に生きる人間と生き物の関係をとらえ、彼女自身の小谷村を表現したとして、選考委員会で高く評価された。煩雑な現代社会に生きる私たちに、いのちと向き合う、いのちをつなぐとはどういうことなのか、人間の生き方の根本について考えさせる作品である。
|